『私たちは、構造に相応しい適度な重さ、硬さを有しながら、自由・柔軟・謙虚を忘れず、時に遊び、時に冒険の気持ちも持ち、夢のある未来へつながるように邁進します。』
私は子供の学校で中一の生徒を相手に建築構造を紹介する講義をしたことがあります。建築構造は「力」仕事で、力には形があり、例えば、 □ よりも△の方が強くて崩れにくいようなことを述べました。構造は人間に例えば骨組で、肉や皮がつくのが普通ですが、東京タワーのような骨組だけの建物もあり、東京ドームのような骨組のない建物もあります。生徒たちも自分も楽しんでいました。
私は、日本で中国の建築構造を、中国で日本の建築構造を紹介する講演、講義を多く行いました。よく地震があるかないかということは両国の根本的な違いと言われていますが、決してそう単純ではありません。材料から構築方法まで、全てに歴史、文化的要因が含まれていると考えています。中国では納まりの美しさがあまり感じられず、日本では冒険的な豪快さが通用しにくいことは確かに感じています。
構造家の皆様と同じく、建築家、設備技術者、現場の建設者に構造の考えと原則を繰り返し説明したり、構造家同士の間で何かのテーマを巡って論争したりすることが私の日常的な仕事です。構造家としての知見、ノウハウ、プライドを持って臨んでいますが、それは自分の役割、主張、知識を常に再点検するプロセスでもあります。事務所のメイン業務としている研究開発、コンサルティングは、最初はほとんど自分の経験、知識を超えるものなので、学習能力が最も大きな力になっています。
私たちは、構造に相応しい適度な重さ、硬さを有しながら、自由・柔軟・謙虚を忘れず、時に遊び、時に冒険の気持ちも持ち、夢のある未来へつながるように邁進します。